2017年度

現在研究中

2016年度

昨年度から引き続き、行列の幾何学の研究を行いました。その結果、情報理論における情報計量と呼ばれる幾何学量が、行列幾何においても 重要な役割を果たすことが分かりました。近年、情報幾何と素粒子理論における諸理論とのつながりが話題となっていますが、非可換幾何においても情報幾何との関連があることが示唆されました。 非可換空間上で重力理論を定式化できるならば、計量は重要な量であることは間違いないので、 今回得た情報計量に関する知見は行列模型を用いた重力の記述を理解する上で重要な役割を果たすと期待しています。

一方、ゲージ/重力対応の数値計算の研究も堅調に進んでおり、これまでにない高い精度で対応関係を検証することができました。 この対応は、一見全く異なる理論であるゲージ場の理論と超弦理論が、実は等価であるという興味深い予想です。 特に前者は重力を含まず、後者は含んだ理論であることが最も非自明な部分です。もしこの等価性が確実なものとなれば、 量子重力の記述を確立する上で大きな足掛かりになると考えられています。本研究では数値的にゲージ理論側を解析し、 超弦理論におけるブラックホールの性質が再現されるかどうかを検証しています。計算の結果、ブラックホールの エネルギーがゲージ理論側からも正しく再現されることが分かりました。これは等価性が成立していることの大きな証拠を与えています。

2015年度

弦理論/M理論の定式化を与えると期待されている行列模型ですが、従来の微分幾何を用いた理論の記述との関係性がこれまで理解されていませんでした。 行列の記述する幾何学は非可換幾何と呼ばれる、通常の幾何をさらに拡張したものなのですが、この幾何のより深い理解を得ることが、この問題の解決につながると考えられます。 このような背景で、私は行列の幾何と従来の微分幾何を結びつける新しい方法を提唱しました。 量子力学におけるコヒーレント状態の考えを応用することで、これが可能になりました。

一方、数値計算によるゲージ/重力対応の研究でも進展があり、これまでの研究をまとめた論文を発表しました。 この研究ではHPCIの優秀成果賞を受賞しました。