研究紹介

自然界の4つの力を統一的に記述できる理論「弦理論」の構築

この世界は素粒子と呼ばれる小さな構成要素から出来ていることが知られています。例えば最も身近なものでは、電子や光子などが素粒子にあたります。また、陽子や中性子を構成するクオークや、重力を媒介する重力子も素粒子の一つだと考えられています。これらの素粒子は互いに相互作用をしており、その相互作用は4つの種類に分類できることが分かっています。重力相互作用、電磁相互作用、弱い相互作用、強い相互作用です。これらの相互作用を数学的に矛盾なく満足の行く形で記述できる理論を構築することが、素粒子物理学の最も大きな目標の一つです。

重力以外の三つの相互作用は、場の理論と呼ばれる数学を用いて記述できることがこれまでに分かっています。場の理論はいわば点粒子の理論であり、素粒子を大きさのない「点」だと考えて理論が作られています。重力が無視できるような状況下での物理現象は、この場の理論を用いてうまく説明することが出来ます。例えば2012年にヨーロッパの巨大加速器実験でヒッグスと呼ばれる粒子が見つかりましたが、その存在も場の理論に基づいた定式化から予言されていたものでした。

場の理論は素粒子理論において大きな成功を収めた理論なのですが、重力相互作用を記述できないという点で、まだ満足の行くものではありません。場の理論の枠組みで重力を定式化しようとするとたちまち矛盾が生じてしまい、これをどのように回避するのかが現在の大きな課題となっています。一つの方向性として、点粒子の理論であった場の理論を、弦(ひも)の理論に拡張するというものがあります。このように拡張された理論は弦理論と呼ばれ、少なくともいくつかの単純な背景時空においては、重力も含めた全ての相互作用を記述できることが分かっています。

弦理論はまだ完全な(非摂動的な)定式化が出来ていませんが、本研究室では弦理論の完成を目指し、弦理論の性質をより深く理解するための研究を行っています。特に行列模型と呼ばれる弦理論の新しい定式化や、ゲージ/重力対応と呼ばれる超対称場の理論と弦理論の間に予想されている等価性に関して現在研究を進めています。

研究体制

2017年度現在、筑波大学において博士課程の学生一名とポスドク研究員一名の体制で研究を行っています。 重点的に研究しているテーマは行列幾何と呼ばれる新しい幾何学についてです。

また、並行して進めているゲージ/重力対応の研究では、 京都大学基礎物理学研究所・慶応大学・ローレンス・リバモア国立研究所(米国)との国際共同研究により研究を行っています。

更新履歴

2015/6/27
サイトオープン
2016/9/6
サイト更新
2017/4/26
サイト更新
2017/6/12
総合科目「新時代を拓く研究の最前線I」のスライドを担当授業欄に載せました