2017年4月28日 伊敷吾郎助教 2017年度(第12回)素粒子メダル奨励賞受賞


受賞論文

浅野侑磨、伊敷吾郎、岡田崇、島崎信二
``Emergent bubbling geometries in the plane wave matrix model'' JHEP 1405 (2014) 075

選考理由(素粒子理論メダル奨励賞選考委員会 選考結果報告書から抜粋)

Lin と Maldacena によって Type IIA 超重力理論における SU(2|4) の対称性を保つ BPS 重力解 (Bubbling 解と呼ばれる)が分類され、それはある種の静電ポテンシャルの決定問題と等価であることが見出された。この重力解は、Plane Wave 行列模 型と呼ばれる超対称行列模型とホログラフィー双対にあると予想されている。本論文では、同一著者による先行研究 JHEP 1302 (2013) 148 で開発された Plane Wave 行列模型の「局所化」の手法を用いて、行列の固有値が相互作用する 1 次元 Fermi 気体の系と等価であることを示した。その結果を用いて、対応する重力解が満たすべき静電ポテンシャルの方程式を Plane Wave 行列模型の立場からも導出できることを示した。 本論文では、Bubbling 解というとても広いクラスの超重力理論の解に対して、ホログラフィー双対が成立することを解析的な計算を通して検証しており重要な業績といえる。また著者らが開発した Plane Wave 行列模型の局在化の手法は今後の研究にも応用が期待され、将来性のある研究として受賞に値する。

伊敷助教による受賞論文の一般向け解説は こちら をご覧下さい。


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