日時:5/11(Fri) 14:00 場所:Work shop room at CCS 講演者: Shinsuke Yoshida タイトル: Recent developments in single transverse-spin asymmetry
「高エネルギーハドロン散乱過程、 とりわけ大きな運動量移行を含むQCDハード 過程は 漸近的自由性の恩恵により、核子構造のような複雑なQCDダイナミクスに対して 第一原理的な理解をもたらす点で興味深い研究対象である。 漸近的自由性の発見以降、摂動論的QCDの著しい発展によって、ハドロンの構造は より良く理解され、QCDは多くのハード過程に対して確固たる定量性を獲得する に至った。 しかし、陽子スピンの構成問題など高エネルギー実験で見いだされ、 現在でも未解決のままである問題も少なくない。 このようなQCDハード過程の未解決問題のひとつに、 横偏極陽子を用いたセミインクルーシブ過程(終状態に一つだけ粒子 をおさえる過程)における大きなシングルスピン非対称(SSA)がある。 実験で観測されるような大きなSSAは、多くのハード過程で成功を収めている パートン模型(+QCD補正)では全く再現できないため、 これを解決するような新たな枠組みを作ることが理論屋にとって大きな課題と なっている。 近年、大きなSSAの起源の解明という文脈で、TMD因子化とcollinear因子化の twist-3機構という 摂動論的QCDの新たな手法が注目を集めている。今回は、特に後者のcollinear因 子化のtwist-3機構 を中心に最近のSSA研究の発展について話す。」